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平成20年4月21日
農林水産省
農林水産大臣 若林 正俊 殿
報告書
このたびの農林水産省指令19消安第14899号による、弊社への改善ならびに不適正な格付の表示の除去又は抹消命令措置をうけた結果につきまして、以下のとおりご報告申し上げます。
1. 「貴社(かめびし)が製造したしょうゆについて、JAS法および日本農林規格に基づく格付および格付の表示を適正に行うこと、ならびに貴社(かめびし)が、不適正な格付および格付の表示を行った主たる原因として、貴社(かめびし)の格付業務に対する認識が欠如していたこと及びチェック体制の不備があると考えざるを得ないことから、これを含めた原因の究明・分析を徹底すること」という命令についてのご報告
まず始めに、弊社が製造している当該商品は、平成20年3月31日付の弁明書でも申し上げましたとおり、250年余り続く伝統製法に基づくものであり、少なくともJAS が始まって以来、一切変わっておりません。またこれからも一切製法を変えずに続けて参る所存です。具体的にはニガリの使用はこれからも継続いたしますし、減塩しょうゆの再仕込みによる製法は変えられません。
この点におきましては、現行のJAS法の下で違反というのであれば、ご命令に従うためには残念ながらJASを辞退させていただくより他に方法はないと考えております。
現在、当該商品については、平成20年4月14日(1.8Lについては18日、三年醸造150mlについては1 9日)出荷分より、JASマークを廃した上で従来「にがり」としていた表現を「粗製海水塩化マグネシウム」と改めた商品ラベルを添付して出荷いたしております。また今回の命令の対象ではない他のJAS商品についても、取引先との商談を早急にまとめ、商品切り替えのタイミングが決定し次第、JASマークを廃したラベルを添付させていただく予定です。
また、同時に認定工場を辞退させていただく所存です。
次に、今回の改善命令にいたるまでの経緯を詳しく調査した結果についてでございますが、先に提出した弁明書においても申し上げましたとおり、調べれば調べるほど大いに納得できない事実が判明いたしました。
(1) こいくちしょうゆ、うすくちしょうゆにニガリを使用していた件について
<判明した事実>
@ 平成1 6年のしょうゆのJAS規格改正の際、ニガリ(組成海水塩化マグネシウム)を醤油のJAS規格において認めない明確な理由もなく、またその使用の是非の検討すらされないまま法律が改正されたこと。
A @に対して平成16年に香川県醤油工業協同組合を通じて行った弊社の異議申し立てが貴省に届いていないとされていること。
B 今回の立ち入り調査で指摘をうけるまでの間、少なくとも2 5年以上にわたり、財団法人日本醤油技術センターによる1〜2年ごとの毎回の実地調査の際において、弊社におけるニガリの使用は認められていたこと。
C 特に、平成1 8年1月2 5日(平成1 6年の法律改正後)の調査においてもニガリの使用が認められていたこと。
D 弊社の使用している塩(天日干しあらびき塩)と当該ニガリ(粗製海水塩化マグネシウム)を、一旦水に溶かし再結晶させた塩(赤穂の塩、博多の塩など)は、塩として流通しており、体によい塩として認知されていること。
E また、他にも特殊塩として流通が認められている塩のうち、当該ニガリ分(塩化マグネシウム分)を大量に含んだ塩でもしょうゆのJASにおいて使用が認められていること。
<弊社の見解>
ご存知のようにニガリは豆腐の製造にも使われる日本古来の伝統食品です。
その意味で、伝統的な日本の食生活の中で長年にわたり使用され、「科学的知見に基づいても人体に害がないことが明らかであり、かつ製造業者の中、一部であっても、それが長年使われていて、商品としての信頼度がある」(以上「」内は平成20年4月15日衆議院農林水産委員会速記録の貴大臣発言より引用)にもかかわらず、明確な理由もなくポジティブリストから漏れていたのであれば、これまでJASが認めてきた姿勢のほうが正しいと言わざるを得ません。特に平成16年のニガリに対する法律改正後も、ニガリの使用は弊社の伝統製法に基づくものと理解し黙認されていた財団法人日本醤油技術センターの担当審査員の先生の見解のほうが至極当然と理解しております。
これに対し、今回の立ち入り調査時において、ニガリや塩の諸事情および歴史的経緯も当然よくご存知であるはずの貴担当者が画一的に違反としたことに強い遺憾の念を抱かざるを得ません。
つきましては平成21年のJAS法の改正時においては、ニガリの使用をご検討いただいた上で、ぜひとも使用を認めていただきたくお願い申し上げる次第です。
(2) 減塩しょうゆにさいしこみ生揚げを使用していた件について
<判明した事実>
@ 現行のしょうゆのJAS規格において、さいしこみ生揚げをこいくちしょうゆのJAS規格において認めない明確な理由がなく、またその使用の是非は検討された経緯がないこと。
またこの弊社の特殊製法により製造されたこいくちしょうゆに該当するしょうゆのJAS規格が設けられていないこと。
A 今回の立ち入り調査で指摘をうけるまでの間、少なくとも25年以上にわたり、財団法人日本醤油技術センターによる1〜2年ごとの毎回の実地調査の際において、弊社における当該減塩しょうゆの再仕込み製法(=さいしこみ生揚げの使用)が認められ、こいくちしょうゆとしてJAS認定されていたこと。
B 特に、平成18年1月25日(平成16年の法律改正後)の調査においてもさいしこみ生揚げの使用が認められ、こいくちしょうゆとしてJAS認定されていたこと。
C この商品は、少なくとも昭和53年から、厚生労働省(旧厚生省)の認めている特別用途食品(旧特殊栄養食品)にも認定され、安全でありかつ健康にもよいことが証明されていること。
<弊社の見解>
これも(1)のニガリを使用する製法と同様、減塩しょうゆをさいしこみ製法で作る方法は、弊社が長年に亘り続けており、これまでの間JASが認めてきた姿勢のほうが正しいと言わざるを得ません。特に平成16年の法律改正後も、この方法は弊社の伝統製法に基づくものと理解し黙認されていた財団法人日本醤油技術センターの担当審査員の先生の見解のほうが至極当然と理解できます。
また、厚生労働省においては、同一商品が安全でありかつ健康にもよいとされているにもかかわらず、JAS法における基準の制定あるいは見直しは一度も検討すらされていないことも大変理解に苦しむところです。
つきましては、来年の法改正時においては、当該商品の格付け基準の見直しを是非ご検討いただきたく、弊社の製法を認める法律への改正をお願い申し上げる次第です。
(3)三年醸造しょうゆの格付け検体が未提出であった件について
<判明した事実>
@ 最後の検体提出は昭和60年に遡ること。
A 昭和60年当時、弊社担当者に対し、検体提出は別の特級クラスの商品とまとめて一つにしてもよい(検体の提出を割愛してもよい)との見解が香川県醤油工業協同組合(財団法人日本醤油検査協会の代行業務を行う立場)の当時の担当者を通じて示され、そのアドバイスに従った経緯があること。
B ここ数年内にも、Aと同様のアドバイス(本来二つの商品に対し別々に検体を提出すべきところを一つにまとめて一方を割愛してもよいというアドバイス)が別の二つの商品に対してもあったところ、これらの商品のそれぞれの検体提出はたまたま継続され続けていたため、今回格付け違反であるとの指摘を受けず、改善命令の対象とならなかったこと。
C 今回の立ち入り調査で指摘をうけるまでの間、少なくとも2 5年以上にわたり、財団法人日本醤油技術センターによる1〜2年ごとの毎回の実地調査の際において、弊社における当該三年醸造しょうゆの検体提出の不備は指摘されていないこと。
D 特に平成16年の法律改正後の日本醤油技術センターによる工場実地調査の際(平成18年1月25日)にも、この不備は指摘されていないこと。
<弊社の見解>
当該三年醸造醤油について、弊社が検体の提出を行っていなかったのは事実です。
これについては不備を認め、今後仮にJAS認定工場とさせていただく際には、十分留意し、検体の提出不備のないようにさせていただく所存です。
しかしながら、@ABCの事実を鑑みますと、弊社は決して故意に検体の提出を行っていなかったのではないことはお分かりいただけると思うのですが、何故今回の改善命令という厳しい措置になったのでしょうか。
これについてはどのようにお考えなのか、是非ご意見賜りたいと考えておりますし、今後貴省からの直接のご指導でない場合にはどのように対処すればよいのか、是非お示しいただきたいと思っております。
2. 不適正な格付の表示の再発防止対策に対するご報告
1.で前述の通り、このたびのご命令はまことに承服しがたいと考えておりますが、現行法の下においては、JASの認定工場を継続することを断念するより他に方法はありません。
弊社としてもできるだけ早期に脱退をさせていただく所存ですが、今回の処理にしばらく時間がかかります上、得意先の内部での切り替え準備に少なくとも2〜3ヶ月はかかる見込みと聞いております。
つきましては、JAS商品すべてのJAS規格外への移行が終了しました折には、改めてご報告申し上げますとともに、JAS認定工場辞退願(脱退願)を提出いたしますので、それまでの間ご猶予くださいますようお願い申し上げます。
今回私どもの代々守ってきた伝統製法が、改善命令などというきわめて納得しがたい処置を受けたことに対し、私たちは非常に残念に思っておりますし、未だ納得しておりません。
今回の件を踏まえていろいろ調査しておりましたところ、これまでにも、私たち同様、きちんと正直に安全なものづくりを続けているにもかかわらず、JAS法の不備や矛盾のせいで違反と指摘されたメーカー(松田のマヨネーズ、日東醸造のしろしょうゆなど)が他にもいらっしゃることや、にがりの法規制に関しては、おいしくて安全なこだわり豆腐を造るメーカーを苦しめる不条理な法律がつい最近まで制定されようとしていたことを知りました。
今後は、国は、我々のように零細ではあるけれども、まじめにものづくりをしているメーカーがいることをよくご認識いただき、現行の法律に矛盾がある点についてはぜひとも早期に是正いただきたいと願うばかりです。
また法律の改正時には、一部の検討委員や委員会のみで決定されるのではなく、末端からの意見の聴取方法も含め今一度慎重に実情を調査、検討された上、現状に合わせた法律を制定いただけますようお願い申し上げます。
同時に、地域の食文化がだんだん消え去ろうとしている今こそ、国は伝統食文化の担い手たちをきちんと評価し、守る方向にあってほしいと心より願っております。
今後もかめびしはこれまでと変わることなく伝統製法を守りながらおいしくて安全なしょうゆを作り続けて参ります。
そして、貴省を含め国の体制が正しい意味での食の安全を守る方向に変わっていただけるよう、私たちにできることを続けていく所存です。
以上の通りご報告申し上げます。
香川県東かがわ市引田2174
株式会社かめびし
16代目 代表取締役 岡田 國義
17代目 常務取締役 岡田 佳苗
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